「マリカは好きな人いるの?」
シトロの同世代の女の子達に聞かれ、マリカはきょとんとする。
「好きな人って?なに?」
予想外のリアクションに周りはがっくりとうなだれる。
「マリカにだっているでしょ?!好きな人くらい!」
「えぇ?みんなはいるの?」
「私はジェイルくん!全然話してくれないところとかがステキなのー!」
「ジェイルはなに考えてるんだかわかんないだけだよ」
「あたしはシグだなぁ。やんちゃでかわいいところとかがぁ……」
「シグ?!やめときなよ、あんなバカ!」
「えー?じゃあさ、マリカはかっこいいなぁとか思う人いないの?」
「かっこいい人ねぇ……」

「……そんなのわかんないわよ」
やりとりを思い出してマリカは一人ため息をついた。
広場に座り込む彼女の目の前で訓練という名の取っ組み合いをしているシグとジェイルを見て、ふたたびため息をついた。

この二人といること自体に不満はない。けれど一緒にいる以上恋だの好きだの恋愛について考えたり、ましてやかっこいいだの思ったりする方が無理だった。

「どうしたんだ?ため息なんかついて」
声をかけられ面を上げると、ディルクがにっと笑って立っていた。
「なにか悩み事でもあるのか?」
「べつに……」
「オレには言えないことみたいだな」
そういいながらディルクはマリカの横に座った。
「悩むのは悪いことじゃない。言えないならそれでもかまわないが、そのままにしたらダメだからな」
「……うん、わかってる」
「そうか!」
兄貴分はにっと笑ってガシガシと不器用にマリカを撫でる。
普段ならどうということはないのに、急に乱れた髪が気になってマリカはあわてて直した。

かっこいいと思う人はいないのか、という友人達の言葉が頭の中に浮かんで、ちらりとディルクを見る。
彼女達がいう恋とはなにかについては未だによくわからないが、それでも撫でられた部分がじんわりと暖かくて、思わず笑顔がこぼれた。







千華さんに誕生日プレゼントでもらいました!!
マリ→ディルクとかずっといってたらこの二人で!
ああ、マリカ可愛いです!!身近にこんないい兄さんいたら絶対初恋になりますよね!!(ハアハア)

千華さんありがとうございました!!